「はたらく細胞」の作者である清水茜氏が、講談社「月刊少年シリウス」編集部との間で起きたトラブルを2026年7月1日から3日にかけて自身のXで時系列に公表した。医療監修体制の不備や作画環境の悪化、スピンオフ作品でのクレジット表記の無断変更によりうつ病を発症し、連載を終了せざるを得なかった経緯が明らかになった。

講談社は7月3日、公式サイトで謝罪文を公開。「医療監修体制の整備」や「然るべき作画環境(アシスタント手配等)の構築」を適切に履行できなかったことを認め、深くお詫びを表明した。

トラブル発端は2014年の連載開始前

清水氏によると、問題は2014年の連載開始前後に始まった。当時の担当編集者から「医療監修が入る」と説明を受けていたが、2015年発売の単行本第1巻に監修者名の記載はなく、内容に誤りが多数見られた。

読者から「作者はちゃんと調べていない」との批判が相次ぎ、清水氏は担当編集者に監修体制の改善を求めた。しかし、編集者からは「しょせん漫画だから適当で大丈夫」との回答があり、要望は受け入れられなかった。

抜毛症・うつ病を発症、自殺未遂も

改善が進まない中、清水氏は抜毛症やうつ病を発症。2018年からの休載期間中には自殺未遂に至ったことも明かした。2021年の連載再開は連載終了を目的としたもので、心労により連載を終えたという。

スピンオフ作品では、自身の意思に反してクレジット表記が「原作 清水茜」から「協力:清水プロダクション」に無断で変更されたケースもあった。さらに『はたらく細胞図鑑』では清水氏の名義が完全に削除され、シリウス編集部名が前面に掲載されていた。

講談社が公式謝罪「管理体制の不備」

講談社は7月3日、公式サイトに謝罪文を掲載。当該の編集者はすでに清水氏の担当を外れており、現在は過去の経緯の清算に向けて協議を継続しているという。

講談社の謝罪文では、「連載期間中、清水先生より環境改善に関するご要望を複数回いただいていたにもかかわらず、『医療監修体制の整備』や『然るべき作画環境(アシスタント手配等)の構築』を適切に履行することができませんでした」と認めている。

また、連載後の一部スピンオフ作品および映像化派生出版物のクレジット表記について、事前の確認が適切に行われていなかったことも謝罪した。

漫画家からの告発相次ぐ

清水氏の告発をきっかけに、漫画業界で編集部とのトラブルを明かす声が相次いでいる。講談社「月刊少年シリウス」を巡っては、印税未払いの訴えなども出ている。

「はたらく細胞」スピンオフ「はたらく細胞マッスル」を手掛けた前田悠氏も6日、Xで「黙っていることで却って臆測を呼んでしまうことがある」と前置きした上で、コメントを投稿した。

漫画家の労働環境が問われる

今回のトラブル告発は、漫画家の労働環境や編集部との関係性について、業界内外で議論を呼んでいる。清水氏の公表により、複数の漫画家が過去の経験を明かす動きが広がっており、創作現場の在り方が改めて注目されている。

講談社は謝罪文で「すべての漫画家の皆様が安心して創作活動に専念できるサポート体制の徹底、および心理的安全性の確保に、真摯に取り組んでおります」としている。

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